荒木隆次 著 B6判・112ページ 定価[本体952円+税] ISBN 4-86108-023-1 C0077 \952E 2005. 2. 18 第1版 第1刷 |
あまり耳慣れない腹横筋。直接、結腸に接するおなかをとりまく筋肉の一つです。これを動かすことでスムーズな便通をうながすことができます。まず呼吸をするとき、普通の腹式呼吸に加えて腹横筋を使う深腹式呼吸を心がけます。排便のとき、呼吸を止めて息む、いわゆるキバるのをやめて息を吐きながら、おなかに圧を加えていきます。コツをのみこめば楽々、排便間違いなし。くすりも食品も運動も関係なし。便秘の苦しみから解放されます。便秘解消だけでなく、寝付きがよくなる、気分が落ち着くなどの予想外の効果も期待できます。
目 次
はじめに
第1部 便秘解消・便通改善教室
T あなたはどのような息の仕方をしていますか?
ようこそ便秘解消・便通改善教室へ
排便習慣や腹式呼吸に関する質問表
あなたはどのような息の仕方をしていますか
胸式呼吸と腹式呼吸
普通の腹式呼吸(横隔膜呼吸)の練習
U 深腹式呼吸
十分には息が吐けない普通の腹式呼吸
ゆっくり長く吐いてみよう
吸った息よりも多く吐けるのはなぜ?
腹横筋を使うと息が長く吐ける──横隔膜呼吸よりも重要な腹横筋呼吸
深腹式呼吸──横隔膜呼吸で息を吸って腹横筋呼吸で息を吐く
V 腹横筋排便法
便秘の分類、あなたはどのタイプ?
深腹式呼吸で便は直腸へ
あなたの排便法は?
息を吐くと出やすくなる
腹横筋呼吸で吐きながら息む
腹横筋呼吸で吐いて息み、さらに吐いて息む
便秘がよくなった
深腹式呼吸と腹横筋排便法のいろいろな効果
W 便秘解消・便通改善教室でよくなった人の実例
第2部 深腹式呼吸と腹横筋排便法について
X 普通の腹式呼吸(横隔膜呼吸)について
横隔膜が上下に動く理由
継続して行うことが難しい普通の腹式呼吸
普通の腹式呼吸の練習法
Y 深腹式呼吸
横隔膜呼吸よりも深く吐く
深腹式呼吸
横隔膜呼吸+腹横筋呼吸
腹横筋呼吸の練習法
深腹式呼吸をいつ行えば?
Z 腹横筋排便法
便秘の分類
大腸内での便の移動に深腹式呼吸が役立つ
腹横筋排便法
[ 深腹式呼吸と腹横筋排便法でこんなことも
終わりに
「はじめに」より
便秘で悩んでいる人はどれくらいいるのでしょうか。便秘に限らず残便感のある人も含めると、便通に問題を抱えている人はかなりの数に上ると思われます。便秘解消あるいは便通改善のためにさまざまな努力を重ねてきたという人も多いことでしょう。健康に関する本で、便秘が繰り返し取り上げられ、食物繊維を多くとること、適当な運動をすること、毎朝トイレに行くこと、さらにはストレス解消に心がけること、その他いろいろなことが推奨されてきています。新聞やテレビなどで便秘に関する本や下剤の広告、コマーシャルを目にしない日がないほどです。
このように、さまざまな対処法・治療法がうたわれていますが、もしそれらが有効であるのならば、なぜ便秘で悩む人がなかなか減らないのでしょうか。便秘症の人が、自分に合った対処法を見つけることが難しいからでしょうか、それともさまざまな対処法をすべて取り入れることをしないからでしょうか。どうもそうではないようです。各種の対処法がまったく効果がないとは言えないのでしょうが、多くの人に共通して有効と言える対処法はない、というのが現実のようです。
私自身かなりの期間、便秘に悩んだことがあるのですが、数年前に、たまたまある方法に気がつき、その方法を継続し、また工夫を加えることで便秘の悩みから解放されました。医学的にも(解剖学的にも)その妥当性が説明されるものであり、また、アンケート調査を行って便秘症と考えられた人たちに、その方法を適用してかなりの好結果を得ることもできました。そこでこの新たな便秘解消法を紹介したいと思います。
この便秘解消法は、特別な食事の工夫(食物繊維を多くとる、その他)や生活リズムの改善などが必要なわけでもなく、特別な薬が必要というわけでもありません。ただ単に「深腹式呼吸」と「腹横筋排便法」を行えばよい、ということなのです。つまり、便通に関して言えば(便秘以外においても言えることと考えられるのですが)、非常に多くの人が間違った、あるいは不適切な呼吸法と排便法を行っているということなのです。深腹式呼吸と腹横筋排便法を実行すれば、便秘の悩みから解放されるばかりでなく、快便をも体験できるようになります。また、便秘で困ってなどいないという人でも、残便感がある、という人ならそれを解消し、快便を体験できるようになる可能性が十分にあります。
著者の紹介
荒木 隆次 あらき りゅうじ
1950年北九州市生まれ。1974年九州大学医学部を卒業。
同精神医学教室、産業医科大学を経て現在、医療法人社団天臣会松尾病院副院長。専門は精神神経科。
長く頑固な便秘に悩まされる。7年前に快便を経験し、腹横筋に着目、研究を続ける。